規約違反行為者への一斉対処について(2006.11.24)

本日、ファイナルファンタジーXIにおいて、外部プログラムの使用および現実世界の金品によるゲームデータの売買(RMT)の規約違反行為に該当していたアカウントの一斉対処を行ったことを報告いたします。

今回の一斉対処では、違反行為の度合いに応じて、9,000を超えるアカウントの強制退会処分、ならびに2,500を超えるアカウントについて会員資格の一時停止処分を行いました。対処が行われた違反行為の種別とアカウント数の内訳は以下のとおりです:

  • 不正な方法でキャラクターを移動させていた
    約1,100件
  • 特定のエリアやノートリアスモンスターが出現する地点で、不正な方法により実際には不可能なタイミングでアビリティなどを使用していた
    約6,400件
  • RMTに関与していた
    約4,000件

なお、今回の一斉対処により、全ワールド総計で約450億ギルを凍結したことを合わせて報告いたします。

不正な外部プログラムの使用に関しては、再三告知してきているとおり、ゲームバランスに深刻な影響を与えるだけでなく、RMTの助長や、悪意のあるプログラムの混入によるウィルス被害、個人情報の漏洩といった、さまざまな予期せぬ悪影響を及ぼすことも考えられます。今回の一斉対処内容だけにとどまらず、今後も外部プログラムを利用した規約違反行為が確認された場合には、厳しい態度で対処を行ってまいります。

RMTに関しては、今回は主に日本地域を対象として、組織だった関与がみられるものを中心に対処が行われました。今後も引き続き、全リージョンを対象とした対処を継続的に行ってまいります。

すべてのユーザーの皆様が安心してプレイを行うことができるよう、今後も規約違反行為への対策・対処は継続的に行ってまいりますが、各ユーザー様におかれましても、規約違反行為に関与することの無いよう、十分ご注意ください。

お客様のご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

次回バージョンアップの一部を紹介します(2006.11.22)

次回バージョンアップでは、先にお知らせした内容のほかにも、様々な仕様の追加・変更を予定しています。今回は、その一部をピックアップしてご紹介します。

  • 新エリアの開放について
    現在、一部のエリアしか開放されていない「アルザダール文明遺跡群」を、大人数バトル「サルベージ」の導入に伴って本格的に開放します。
    また、バフラウ段丘やカダーバの浮沼についても、現在は行くことのできない場所を開放すると同時に、多数のモンスターを配置する予定です。
    ぜひ、新たなる冒険をお楽しみください。
  • モグロッカーについて
    多くの皆さんにご利用いただいているモグロッカーを、さらに拡張できるようにします。
    これによって、最大70個までのアイテムが保管可能となります。
  • 新たなクエストについて
    前回のバージョンアップに引き続き、次回も新たなクエストを多数追加します。
    アトルガン皇国最強の将軍たち「五蛇将」にまつわるクエストなども追加予定ですので、どうぞご期待ください。
  • ビシージで取得できる経験値について
    アルザビにおける防衛戦に参加すると報酬として経験値を取得できますが、レベル75のPCは、経験値の代わりにリミットポイントを取得することも可能になります。
  • トゥー・リアへの移動手段について
    トゥー・リアへの移動手段を追加します。
    ある条件を満たすことで、ホラの岩、デムの岩、メアの岩から入ることができる「転移の間」から、直接移動できるようになります。
  • フェローについて
    フェローについても仕様変更を予定しています。
    現在は、PCがエリアチェンジすることで呼び出していたフェローが消えてしまいますが、以後はPCと共にエリアチェンジすることが可能となります。
    ※エリアチェンジした先がフェローを呼び出すことができないエリアだった場合は、フェローは消えてしまいます。

「ファイナルファンタジーXI リンクシェルコミュニティβ版」バージョンアップのお知らせ(2006.11.21)

公開以来、多くの皆様にご利用いただいております「ファイナルファンタジーXI リンクシェルコミュニティβ版」では、11月28日(火)に「カレンダー」機能や「自動ログイン」機能の追加、および一部仕様の変更を予定しています。
また、プレミアサイト「Gameinside.info」に運営チームからのコメントを掲載しています。

  • 下記日時におきまして、「ファイナルファンタジーXI リンクシェルコミュニティβ版」のメンテナンス作業を実施いたします。メンテナンス時間中、リンクシェルコミュニティβ版をご利用いただくことができません。
    お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただけますようお願いいたします。
  • 日時:2006年11月28日(火)14:00より21:00頃まで
    ※終了予定時刻に関しては、状況により変更する場合があります。
  • 対象:リンクシェルコミュニティβ版をご利用のお客様
  • 主な変更内容
    • 「カレンダー」機能の追加
    • 「タイムゾーン」機能の追加
    • 「自動ログイン」機能の追加
    • マニュアルへのリンクの追加
    • ワールドポータルでのサーチ条件および一部表示内容の変更
    • その他不具合の修正

プレミアサイト「Gameinside.info」は『こちら

次回バージョンアップのお知らせ(2006.11.20)

「ファイナルファンタジーXI」の次回バージョンアップは、12月中旬を予定しています。
現在は、新たな大人数バトル「サルベージ」の導入に伴う「アルザダール文明遺跡群」の新エリア開放、チョコボ育成の新要素追加、いくつかのジョブを対象としたバトル関連の調整など、多岐にわたる仕様追加・変更に向けて、開発および検証作業を進めています。
さらに詳しい情報については、今後本トピックスでお伝えする予定です。ぜひ、ご期待ください。

ファイナルファンタジーXI 更新のお知らせ(2006.11.14)

下記日時におきまして、ファイナルファンタジーXIのバージョンアップを実施いたしました。

  • 日時:2006年11月14日(火)10:30頃
  • 対象:ファイナルファンタジーXIをご利用のお客様
  • 主な変更内容
    • 自身よりレベルが低いモンスターから魔法を受けた際、通常よりもレジストしづらくなっていた不具合を修正しました。

全ワールド メンテナンス作業延長のお知らせ(2006.11.14)

現在、実施しておりますファイナルファンタジーXIのサーバーメンテナンス作業について、作業の延長にともない終了予定時刻を下記の通り10:30頃とさせていただきます。

お客様にはご迷惑をおかけしておりますことをお詫びいたします。

  • 日時:2006年11月14日(火)2:00より10:30頃まで
  • 対象:ファイナルファンタジーXIをご利用のお客様

プレイオンライン メンテナンス作業のお知らせ〜2006.11.14(2006.11.10)

下記日時におきまして、プレイオンラインのサーバーメンテナンス作業を実施いたします。メンテナンス期間中、プレイオンライン、ファイナルファンタジーXI、テトラマスター、雀鳳楼、フロントミッション オンラインをご利用いただくことができません。

また、「ファイナルファンタジーXI リンクシェルコミュニティβ版」および、プレイオンラインの公式ウェブサイトプレイオンラインドットコム (http://www.playonline.com) 上の以下サービスにつきましては、メンテナンス期間中はご利用いただけません。

  • 「フレンドリスト・プラス」
  • 「プレイオンライン・フレンドリスト・アプリケーション」
  • 「Q&A」検索
  • 「お問合せ」フォーム
  • ファイナルファンタジーXI
    「コミュニティサイトリンク集」の閲覧や編集
  • フロントミッション オンライン
    「コミュニティサイトリンク集」の閲覧や編集

長時間にわたるメンテナンス作業により、お客様にはご不便をおかけいたしますが、ご了承いただけますようお願いいたします。

  • 日時:2006年11月14日(火)2:00より10:00頃まで
    ※終了予定時刻に関しては、状況により変更する場合があります。
  • 内容:プレイオンライン基幹サーバーの交換
  • 対象:プレイオンラインサービスをご利用のお客様

スペシャルタスクチームのインタビューが掲載されました!(2006.11.08)

先日お知らせしましたスペシャルタスクチームについて、プレミアサイト「Gameinside.info」から運営チームにいくつかご質問をいただきました。
また、同サイトの特別企画フォーラムでは、スペシャルタスクチームに関する話題を募集しています。

プレミアサイト「Gameinside.info」は『こちら

スペシャルタスクチームからのお知らせ(2006.11.06)

2006年10月に、運営チーム内で正式に発足した「スペシャルタスクチーム」について、概要や活動内容をご紹介いたします。

  • チーム発足の経緯
    ファイナルファンタジーXIでは、これまでも継続的に不正ツールや現実世界の金品によるゲームデータの売買(RMT)等の不正行為に対して、開発・運営チームが連携のうえ、継続的に対策を行ってきました。
    しかし、年々多様化する不正行為には、いっそう本格的な対応が必要であると判断し、今回、専任のチームを発足させるに至りました。
  • ターゲットと現状認識とについて
    スペシャルタスクチームでは、ファイナルファンタジーXIに悪影響を与えている問題を排除、もしくはその影響を限りなく小さくし、コミュニティとプレイ環境を健全化することを目的としています。中でも、以下の2点をスペシャルタスクチームの当面の主なターゲットとして活動を行っていきます。
    • RMT
    • 様々な不正ツールの使用

RMTについては、現状、日本で約100、欧米で約50の取引サイトを把握し、調査を開始しており、今後数ヶ月で、特に規模が大きいもの、活発に活動を行っているもの(日本で30程度、北米で10〜15程度)への調査を重点的に行っていきます。

不正ツールについては、チームを正式に発足させる以前から継続的な対処を行っている移動速度関連のものに加え、その他に関しても情報収集やログ調査を進め、特に悪質と思われる個人または組織の排除を継続していきます。特に他者のゲームプレイに影響を与えるものや、RMTに関連するものには力を入れていきます。

RMT問題に関しては、販売者の排除を主眼とし、加えて悪質な(大量・継続的等)購入者に対しても警告を発する、ペナルティを課す等の対応を行っていきます。

中でもRMTの販売者特定に関しては、ゲーム内だけでは判断できなかった部分にまで踏み込み、ウェブサイトおよびRMT目的で調達されるギルの生産者におよぶ一連の体系を対象に調査活動を継続的に行っていきます。

  • 現在までの実績等について
    不正ツールに関してはこれまでも告知しているとおり、現在の一斉対処の形式では4回の対処を行っています。その結果、アカウント対処数が増減を繰り返しているのに対して、アカウント所有者数は減少傾向にあります。

これは、強制退会者が1人で複数のアカウントを所有している傾向が強まっているためで、2006年7月の一斉対処時には所有者数そのものが2,000を超えていましたが、2006年10月では、1,400程度の対処アカウント数に対して、所有者数では300台まで減少してきています。

このことから、通常のプレイを大きく逸脱した組織的なアカウント所持者の排除が進んでいるものと判断しています。

一方、RMTサイトへの対策については、前述のとおり独自に新たな調査方法を取り入れることにより、これまでの調査だけでは限界のあった領域よりもさらに一歩踏み込んだ調査・対応を開始しています。

具体的には、チームの発足から現在までの約1ヶ月間に、複数のRMTサイトに対して新手法による調査を行い、RMTに関与していたことが確認された約100 のアカウントの強制退会処分、ならびに数百億ギルの凍結を完了しています。結果的に、調査を行ったRMTサイトのうち、いくつかに関してはサイトの閉鎖やファイナルファンタジーXIに関するRMTの取り扱い停止等を確認しています。

このように一定の効果が確認されたことから、今後当該手法による対応を強化し、より広範囲にわたる本格的な調査、対応を行うとともに、その確立を進めていきます。これまでと同様に対処内容等に関する告知は随時行っていきます。

  • ご理解、ご協力のお願い
    上述のとおり、今後、スペシャルタスクチームによる活動を強化し、プレイ環境の健全化を推し進めていきます。

ただし、様々な新手法を採り入れても依然として対応が困難な問題も残っており、加えてこれらの作業には膨大なログの人的な解析が必要なため、簡単に多数の結果を生み出すことはできません。この点につきましては、どうぞご了承ください。

これらの対応を急ぐあまり冤罪を生むようなことがあってはならないため、調査はことさら慎重に進めていきます。特にRMT に関しては、多数のアカウントから構成される一連の組織が関与していることが多いため、組織の洗い出しから関連性の特定、関与の確定までに時間を要する場合もあります。

さらに、当初は効果を実感しにくい部分もあると思われますが、一部のエリアやノートリアスモンスターの出現地点等で確認されている様々な問題についても、着実な対応を積み重ねることで、解決を目指していきます。そのためには今後、スペシャルタスクチームによる独自の情報収集に加え、プレイヤーの皆様へ広く情報提供のご協力をお願いする場合も考えられます。

また、これまでも再三にわたり告知してきているとおり、これらのような不正行為には係わりを持つことのないよう、くれぐれもご注意ください。

皆様におかれましては、ぜひとも今後のスペシャルタスクチームの活動にご期待、ご支援をいただけますようよろしくお願いいたします。

スペシャルタスクチーム

Dark Lilies -闇百合の魔女- <後編>(2006.11.02)

冒険者たちの尽力によって、魔女たちの目的は判明した。
賑やかだったハロウィンの終わった翌日の未明、それぞれの街で、エクソシストたちは密かに彼女たちの除霊を行っていた。
そのとき、1人の魔女が告解した、20余年前の驚くべき真実とは……!?

 * * *

幾日も続いた賑やかな祭典を昨夜で終えた王都は、淡い朝もやに覆われつつあった。

ほの暗い街灯の照らす路地を歩いていると、寒さに身をすくめながら仕事に向かう人びととすれ違う。
山のように小麦袋を積み、車輪を軋ませながらのろのろと進むチョコボの荷車を、冒険者風の若者が足早に追い越していく。
路肩には色とりどりの花々が、ぽつりぽつりと咲いている。よく見ればチョコや焼き菓子の包み紙だ。
つい昨日まで、このあたりには菓子を集める子どもたちの声が飛び交っていた。あの子たちはきっと、まだ夢の中で駆け回っているのだろう。

「――ブライアン、ガートルード、何日もの間ご苦労だったな。
さて、6体の幽霊の目的もわかったことだ。いよいよ最後の仕上げにかかるとしよう」

耳元のリンクパールから聞こえてきたのは、エクソシストの仲間、ロジャーの声だ。
あくび混じりのブライアンの声が続く。

「それにしても……まさかあの調査で本当に“忌言葉”を理解できるとはなあ……。
調査に協力してくれた冒険者たちの腕――いや、耳がよかったんでしょうか」

忌言葉――。
魔女が口にしていた奇妙な言葉は、大戦を知る中の国の者ならば、みな記憶しているという。
獣人兵士が叩き鳴らす、忌まわしい銅鑼の音と共に……。

ハロウィンが始まる直前、魔女の言葉がそれであることを突き止めたのは、幼少時代を戦時下のバストゥークで過ごしたロジャーだった。
彼の話によると、忌言葉とは闇に生きる魔物たちが本能的に理解できる特殊な言葉で、かつて、あの“闇の王”が種族や文化を異にする獣人や魔物を束ねるために広めた、と考えられているらしい。

ロンフォールの森で魔女のつぶやきを耳にしたときから、わたしはその言葉を理解する方法を探していた。
そして、人ならぬものの姿を借りる――つまり、変装によって獣人や魔物になりきることで、人間にも解ることがあるかもしれない、という考えに至ったのだ。

その数日後にはハロウィンが始まり、わたしたち3人はそれぞれの街で冒険者を呼び止めて、「変装して魔女を追跡する」という、いささか奇妙とも思える調査を依頼することになった。

すべては女神さまの思し召しだったのだろう。
意外なくらい調査ははかどり、依頼に応じてくれた多くの冒険者が魔女の言葉を聴き、伝えてくれた。

そこで彼らによって明かされた真実は、意外なものだった。

懐かしい街、過ぎし日々、大切な人――。
6人の魔女は、ずっと忘れられなかったものへの想いを胸に、それぞれの生まれ故郷に帰ってきた。
ただ、それだけのことだったのだ。

「魔女たちは、人の心までは失っていなかった……。
だからこそ、忌言葉を知らない冒険者たちにも、彼女たちの想いが理解できたのかもしれないわ」

わたしはブライアンにそう答えると、いまだ街路をさまよう魔女たちの元へと向かった。

 * * *

東の空が白んできた頃、ドラギーユ城前の閲兵場で、エルヴァーンの魔女ポゾロワを見つけた。
彼女は、自分がここにいてはいけない存在だということも、わたしの正体も、とうに知っていたようだった。
ポゾロワの安らかな旅立ちを見届けたわたしは、もう1人の魔女マリーズの姿を求め、工人通りへと続く市門をくぐった。

通りに入って階段を下りていくと、そこには寂しげな魔女の霊が漂っていた。
遠くから彼女の気配を感じ取ったとき、すぐにわかった。
王都にやってきたあの日、ロンフォールの森で遭遇した魔女は、マリーズだったのだ。

わたしは、ゆっくりと彼女に歩み寄った。

「……マリーズ。わたしのこと、覚えている?」

振り返った彼女は、しばらくの間ぼんやりとこちらを見つめていた。
心なしか、その瞳にはやや光が戻っているようにも見えた。

「聞いたわ、お兄さんのこと……。
だいじょうぶよ……お兄さんはきっと、あなたのことを全部わかっていてくれたわ。
亡くなるときまでずっと、あなたのことを想っていたはずよ……」

突然、彼女の頬を光るものが伝った。

「マリーズ、よく聞いて……。
あなたもお兄さんと同じ……もう、この世界にいてはいけない人なのよ……」

「……アァ……ォ兄サ……」

マリーズは両手で顔を覆い、か細い肩を震わせながら声を振り絞った。

「……のォウ……の…………私たチハ……闇……の王の……」

闇の王。
確かに、そう聞こえた。

「……教えて。あなたたちに、なにがあったの?」

彼女は20余年前の出来事を、長い間失っていた人間の言葉で語りはじめた。

 * * *

天与の並外れた魔力をもっていたマリーズは、幼い頃から周囲の人びとに“魔女”と恐れられていた。そして、いつしか実の両親までもが彼女に怯えるようになっていった。
そんな彼女をかばい、心の支えとなってくれたのが兄だったという。
彼は、いつもこう言ってくれた。

「人には誰しも女神様から授かった使命があるんだ。
きっと、お前の力が人びとに必要とされる日がくるよ」と。

しかし、ある日、マリーズは自分のことで兄までもが世間から白い目で見られていたことを知り、衝動的に家を飛び出してしまった。

それから彼女は、同じような境遇の娘たちと運命的に出会い、旅を共にするようになった。
辛い過去と決別し、魔女の名のもとに身を寄せ合った6人。それが闇百合団だった。

闇百合団の結成後、6人は自分たちの身を守るために古の呪術を復活させた。それを知った人びとは、彼女たちに“罪深き魔女集団”の烙印を押した。

もはや、人の住む地に居場所などない――。
世間から追われるようにして北の地へと逃れた彼女たちは、やがて訪れる大戦を前に、闇の王の拠点、ズヴァール城の門を叩いた。
すべては、避けられない必然だったのかもしれない。

6人が謁見したのは、闇の王の側近と称するアーリマンだった。

「ふん……おもしろきやつらよ。
人間の分際で我が王に仕えたいとは。ならばお前たちも、我らと同じ闇の存在になるがよい……!」

まさにそのとき、彼女らは人の姿と言葉をアーリマンに奪われ、人ならぬ魔物として生まれ変わったのだった。

程なくして、大戦が勃発。
闇百合団は獣人軍の最前線に配置され、もてあます魔力をもってアルタナ連合軍を苦しめた。
古の呪術を扱う姿なき魔女たちの噂は戦場を駆けめぐり、その襲来を耳にしただけで恐慌をきたす部隊もあったという。
だが、彼女らの活躍も虚しく、大戦は獣人軍の敗北によって終結。そこから、行き場を失った彼女たちの旅が始まった。

目的も目的地もない、長く果てしない漂泊の日々が……。

 * * *

歳月の流れと共に、6人は、自分たちがどこでなにをしているのかさえ、わからなくなっていった。
マリーズは、10年、20年……とさまよううちに、いつの間にか仲間たちの多くとはぐれ、懐かしい故郷の側までたどり着いている自分に気づいたという。

「すべてを失った私は……もう……ここに戻ってくるしかなかったのよ……。
懐かしい……お兄さまの記憶が残る……この街に……」

そう言ってうつむいた彼女の姿は、さらにかすみ、今にも消え入りそうだった。

マリーズにとって、真実など、どうでもよいことかもしれない。しかし、いまここで話さなければ、彼女の魂はいつまでも、この世界をさまよい続けることだろう。
この20余年と同じように――。

自分にそう言い聞かせ、わたしは彼女に向き直った。

「よく聞いて、マリーズ……。
あなたたちは、そのアーリマンの側近に、人の姿と言葉を奪われただけではなかったの。
おそらくそのとき、命そのものも奪われて……亡き者とされていたのよ……」

彼女は静かに顔を上げると、寂しそうに言った。

「……薄々……気づいてはいたわ……。
あの日……あなたの身体に触れて……人の温かさを羨ましく思ったときから……。
だから……もう迷いはない……。
ねえ……お願いよ……どうか私をお兄さまのところへ……」

「マリーズ……」

「真実を知らせてくれて…………ありがとう」

その瞬間、東の城壁の向こう側から、金色の陽光があふれだしてきた。
あらゆるものをあまねく照らし出す、どこまでも目映い光。その光を背に、マリーズは優しく穏やかに微笑んでいた。

まるで、慈愛に満ちた女神アルタナのように――。

はっとしたわたしは、その場で目を閉じて、魂の旅立ちを祝する聖典の一節を一心に唱え続けた。
ただ、女神様の御許へと旅立つ彼女の幸福を信じて……。

すべてを終えて目を開けると、そこにマリーズの姿はなく、あたりには無数のきらめきだけが残されていた。
その儚い光の1粒1粒が、ゆっくりと天に昇っていく様を、わたしはいつまでも見守っていた。

※公式サイトにイラスト何点かついてます。